犯罪にかっこいい名前をつける理由とSNSの役割について

名前が軽すぎたりかっこよすぎたりすると、犯罪が「手軽でかっこいい」と感じる人がいるかもしれません。

それなのに、なぜ警察やマスコミがもっとダサい、入りたくなくなるような名前を付けないのか。この記事ではその理由を考察し、SNSが果たす役割についても掘り下げてみます。

犯罪にダサい名前をつけるべきという考え

犯罪にかっこよすぎる名前をつけると、犯罪へのハードルを下げる危険があります。名前が悪名高く、同時にクールだと、犯罪が「魅力的」に見えることがあります。「闇バイト・トクリュウ」などの名前は、どこかかっこよさが漂い、悪いことをして一儲けしようという人たちにとって刺激的かもしれません。

もし「馬鹿阿保団」といったダサい名前が付けられたら、その犯罪は一気にかっこ悪く見えるでしょう。「そんなダサい組織には入りたくない」と思わせることが、犯罪抑止の一つの手段となる可能性があります。

では、なぜ警察やマスコミはあえてかっこいい名前を付けるのでしょうか?

なぜ警察やマスコミはかっこいい名前を使うのか?

その理由は以下のようにいくつか考えられます。

警察やマスコミの内部・視聴者に対する配慮

1. 犯罪の深刻さを伝えるため

警察やマスコミが印象的な名前を付ける理由の一つは、社会にその犯罪の深刻さを正しく伝えるためです。軽すぎたり、ダサすぎる名前では、犯罪そのものが軽視され、社会全体がその危険性に鈍感になってしまう恐れがあります。たとえば「トクリュウ」という名前は、犯罪の匿名性や組織的な流動性を強調し、「これは非常に危険で、社会全体に対する脅威だ」というメッセージを広く発信しています。

2. 視聴者や読者の関心を引くため

マスコミが報道する際には、視聴者や読者の関心を引くことも重要です。特に犯罪ニュースは社会への警告としての役割もあるため、インパクトのある名前が必要とされます。あまりにダサい名前だと、視聴者がそのニュースを軽視してしまう可能性があり、結果として警戒心が弱まり犯罪抑止の効果も低下してしまう恐れがあります。

3. 警察内部の士気を高めるため

さらに、警察内部でも士気を高めるためにかっこいい名前を使うことがあるかもしれません。組織的で危険な犯罪を取り締まるという重大な任務に誇りを持つことは、警察の仕事に対するモチベーションを維持するために重要です。「トクリュウ」といった名前を使用することで、警察官は「社会にとって非常に危険な犯罪者を捕まえている」という自負心を持ち、やる気が向上するかもしれません。もし犯罪に対して「馬鹿阿保団」といったダサい名前が付けられていたら、士気が低下し、捜査の効果にも影響を与えるかもしれません。

警察マスコミ組織の背景的な問題

1. 警察の権威の誇示

権力の維持機能として警察は「こんな悪質な犯罪者たちを取り締まっている」という姿勢を大衆に見せたいのではないかと思います。犯罪の名前が恐ろしく、強大であればあるほど、それを取り締まる警察の凄さが際立つからです。組織内でも、「トクリュウを捕まえた」といったモチベーションアップにつながり、他の部署からの評価も得やすいという背景があるかもしれません。

2. マスコミの視聴率確保

一方で、マスコミは視聴率や関心を集めるため、強烈で恐怖を感じさせる名前を使うことが多いです。「トクリュウ」や「闇バイト」という名前は、物騒で不気味な印象を与え、視聴者の恐怖心を煽り、ニュースの注目度を高めます。逆に「馬鹿阿保団」といったようなダサい名前では、ニュースとしてのインパクトが薄まり、視聴率も下がってしまうでしょう。また、クレームを受ける可能性があります。

過去の事例:SNSが「珍走団」を広めた影響

実は、SNSが犯罪や違法行為にダサい名前をつけて社会に広めた過去の成功事例があります。暴走族はかつて、若者にとってある種のカリスマ的な存在でした。しかし、SNSで彼らを「珍走団」と呼ぶ流れが始まると、一気にそのイメージは失墜しました。ダサくて笑える名前をSNS上で広めることで、暴走行為そのものの「かっこよさ」を打ち消し、結果的に若者たちがそれを避けるようになったのです。

実際に、令和になってから暴走族が減少しています。この減少が直接的に「珍走団」というダサい名前の影響によるものかは明確ではありませんが、社会全体の犯罪抑止には大きな効果をもたらした可能性は十分に考えられます。

ダサい名前をつけるのはSNSの役割

ここで重要なのは、犯罪にダサい名前をつけるべき役割がSNSにあるという点です。SNSでは、「トクリュウ」のような名前がかっこよすぎると感じられた場合、大喜利的に「こんなダサい名前にしよう」といった流れが自然発生的に始まります。ダサくて面白い名前が次々と提案され、それが広がることで、犯罪に対する「憧れ」を一気に打ち砕きます。

闇バイトの蔑称考えて広めようずwwwwww 出典:2ちゃんねるまとめブログVIPPERな俺

これこそ、現代の共同社会における笑いの正しい使い方と言えるでしょう。フランスの哲学者アンリ・ベルクソンも「笑いは人間の社会的な規範を維持し、逸脱した行動を是正するためのメカニズムとして機能する」と述べていましたが、SNS上での大喜利やネタの文化は、その現代版と言えます。犯罪のかっこよさを笑いで崩壊させ、結果的に犯罪抑止に繋がっていくという社会のダイナミズムは、これからも重要な要素となるでしょう。

結論:警察やマスコミは今のままで良い

最終的に、警察やマスコミがかっこいい名前を使い続けることには意味があります。

警察やマスコミがかっこいい名前を使って犯罪の深刻さを伝える一方で、SNSがその犯罪のイメージを笑いや皮肉で軽くし、犯罪者への憧れを削ぐという、この二重のアプローチは、現代社会におけるバランスの取れた犯罪対策と言えるのではないでしょうか。

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